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私の幼稚園先生

春休み初日、わたるは一人ぶらぶらと散歩をしていた。
まだ若干肌寒いが、冬の厳しい寒さは既に和らぎ、穏やかな陽が地面一体を照らしている。
こうして暖かい日の当たる道を歩いていると、昨日の卒業式に感じた物悲しい思いも癒されていくようだ。
わたるは、この春休みは一人静かに過ごそうと心に決めていた。
小学校卒業による大好きな友達たちとの別れ、そして4月からの新しい中学校生活。
寂しさや不安や期待など様々な思いが入り混じった奇妙な感情が、わたるに一人になることを好ませたのだ。
まぁ簡単に一言で言えば『感傷的になった』ということであるが…

ともかくわたるは春の暖かい日差しの中、当てもなくただ一人散歩を楽しんでいた。
そう、本人としてはあくまでも『当てもなく』のはずだった。
ところが、ふと気づくとわたるは昨日まで通っていた小学校の門の前に立っているではないか。
やはり何か思うところがあったのだろう。
知らず知らずのうちに、6年間元気に通い続けた懐かしい小学校の前までやってきてしまったのだ。
その門は休みだというのに、大きく開かれていた。
もっとも今日から休みとなったのは6年生だったわたる達だけで、在校生は今日が3学期の最終日だ。
懐かしさに学校の中に入ろうとも思ったが、わたるはそうはしなかった。
昨日卒業したばかりなのに、もう小学校時代を懐かしく思っている自分が少し女々しい気がしたからだ。
心の中で学び舎に一礼をすると、わたるはその場を離れることにした。
けれども、わずか1分ほど歩いただけでわたるは再び足を止めてしまう。
わたるが思わず足を止めた場所。そこは、これまた懐かしいかつてわたるが通っていた幼稚園の前だった。

(うわぁ、懐かしいなぁ~)
わたるは心からそう思った。
面白いものだ。この幼稚園は小学校のすぐ隣にある。当然、小学校時代毎日目にしていた場所だ。
にも関わらず、小学校に通っていた時には少しも気に留めることもなかった。
こうして小学校を卒業してみて、はじめてこの幼稚園を『懐かしい』と感じたのだ。
(誰もいない…ちょっと入ってみたいな)
小学校のグランドの10分の1程しかない幼稚園の小さなそれ。
そこには、所狭しと象の形をした滑り台やわたるの身長くらいしかない小さなジャングルジムが据え付けられている。
金網の塀越しにそれらを見ているうちに、わたるはだんだんとその中に入ってみたいという気持ちになっていった。
(門、開いてるかな?とりあえず行ってみるか)
幼稚園の入り口は、その小さなグランド沿いを歩いて行き、最初の曲がり角を右に曲がったところにある。
懐かしさに背中を押されるように、わたるは小走りで門に向かった。
そして事件はその時に起きた。それはわたるが、よく確認もせず曲がり角を飛び出した瞬間の出来事だった。
「キャー!どいて、どいてぇ~!」
耳を突き破らんばかりの女性の悲鳴が不意に聞こえてきたのだ。
(な、なに?…え?…!!!)
わたるは、ほんの一瞬だけ見た。勢いよく真っ直ぐに自分に向かってくる自転車の姿を。
しかし『あ!』と思った次の瞬間には、既に目の前は真っ暗闇になっていた。

「…ょうぶ?…ねぇ、ボク。大丈夫?」
わたるの耳に、なにやら遠くの方から女性の声が聞こえてくる。
その声が、わたるの意識を徐々に引き戻していった。
「…ん?…え?」
意識を取り戻したわたるは、自分が壁にもたれながら尻餅をついていることに気がついた。一体、何がおきたのだろう。
「ボク?…ねぇ、ボク?…大丈夫?」
「…え?…あれ?…」
今度ははっきりとわたるの耳に、女性の声が聞こえた。
ふと目の前を見れば、しゃがみ込んだわたるの目の前に一台の自転車が止まっている。
声の主は、その自転車に跨っていた。
「ボク…ボク!大丈夫なの?」
「え?…う、うん…だ、大丈夫…」
やっとのことでそう答えたものの、わたるは何が大丈夫なのか自分でもよくわかっていなかった。
「大丈夫?あぁ~よっかったぁ…ごめんねぇ、ボク。私、ちょっと急いでて…でもボクも悪いんだぞ、急に飛び出してくるんだもん」
「え?…あ、あぁ…」
ようやくわたるにも事態が飲み込めてきた。どうやら自分はあの自転車と衝突してしまったらしい。
それで道端に倒れこんで気を失ってしまったのだ。
もっとも気を失ったとはいえそれはほんの数分…いや、その女性がまだ自転車に乗っていることを考えれば数十秒のことだろう。
「だ、大丈夫…ちょ、ちょっとぶつかっただけだから…」
そう言って立ち上がろうとしたわたるの背中に激痛が走った。思ったより強く背中を打ちつけていたらしい。
あまりの痛みに、わたるは思わず前のめりに倒れこみ、四つんばいの姿勢になった。
「だ、だ、大丈夫?ボク?」
また女性が驚きの声をあげた。いかにも心配そうな弱々しい声だ。
「あ、だ、大丈夫だから…」
わたるはなんとなくその女性に申し訳ないような気がしていた。
もともと注意もせず曲がり角を飛び出したのは自分だ。自分が悪いにも関わらず、女性に心細い思いをさせるのがつらかったのだ。
幸い痛みも少しずつやわらいできた。
わたるは少々の痛みを堪え、つとめて明るく自転車の女性に微笑みかけようと顔を上げた。
「ほ、本当に、大丈夫だから…うあっ!」
そこに見えた光景に、わたるは思わず小さな声を上げていた。
最初にことわっておくが、わたるはただ自転車に跨った女性に元気な顔を見せようと顔を上げただけだ。
その女性の顔をしっかりと見て、明るく「大丈夫です」と伝えようと顔を上げはじめただけなのだ。
誓ってそれ以外、わたるには何の他意もない。
しかし意に反し、地面から徐々に上がっていくわたるの視線は、女性の顔にまで到達することはなかった。
四つんばいの姿勢のまま顔だけを上げたわたるの視線は、ある一点で止まってしまったのだ。
(う、うわぁ!…し、し、白…ま、真っ白だ!)
わたるの視線は、輝くばかりに白い魅惑的な逆三角形をとらえていた。
(パ、パ、パンティだ!…パ、パンティが見えてる!)
そう、わたるの目を虜にしたものは、自転車の女性のパンチラだったのだ。
その女性はカラフルな柄のスカートを履いていた。それも膝上10センチはあろうかというミニスカートだ。
そんないでたちにも関わらず、彼女は今、自転車に跨ったまま右足をペダルに乗せ、左足はしっかりと地面につけて静止している。
ただでさえ短いミニスカートはさらに上の方までたくし上げられ、しかも股間はあられもなく開かれている。
四つんばいの姿勢で彼女をほぼ真下から見上げているわたるの目には、はっきりと無地の真っ白なパンティが映っていたのだ。
(す…すごい…ぼ、僕、見ちゃった…お、女の人の…女の人のパンティ見ちゃった!)
わたるの胸が高鳴った。

わたるはどちらかといえば大人しい部類の少年だ。
小学校の友達が女の子にスカートめくりをした時など、ドキドキ、ハラハラしながらそれを遠くの方から眺めていることが精一杯の少年だった。
本当はその悪ガキ達に混ざって、思いっきり女の子のスカートめくってみたいと思いつつも実行できずにいるような内気な少年だった。
しかし、わたるはこの時期の少年特有の『性に対する興味』は人一倍強く持っていた。
とはいえ、それは『性に対する知識』を持っていることとは必ずしも一致していなかったが…

そんな『性に対する興味』を持った少年の目の前にパンティが…しかも小学校の女の子のそれなどではなく、大人の女性のパンティが目の前にある。
いつもいつも見たいと思っていた大人の女のパンチラが実際に目の前にあるのだ。
わたるが我を忘れ、その白いパンティに見入ってしまったのは当然のことなのかもしれない。
(パ、パンティ…パンティだ…白いパンティだ…)
ただひたすら、わたるは白い魅惑的な布切れを見つめている。
いやそれだけではない。露になった太腿もわたるの目を虜にしている一つだ。
小学生のほっそりとした骨ばった太腿ではない。ムッチリとした肉感のある柔らかそうな太腿。
思わず触り、撫で回したくなるような二本の太腿にわたるの視線は行き来する。
(うわぁ…小学生のと全然違う…な、なんて…なんて柔らかそうなんだ…)
ひとしきり太腿を見回すと、またしても視線は開かれた股間の中央に吸い寄せられていく。
まばゆいばかりの二本の太腿の中央に、その太腿に食い込むように纏わりつきひときわ輝く白いパンティ。
あまりの刺激的な光景に、わたるはクラクラと眩暈を覚えた。
(はぁ、はぁ…あぁ…パンティ…女の人のパンティだぁ…すごい、すごいよぉ…僕、ついに見ちゃったよぉ…)
わたるの股間がズキズキと疼く。実はわたるのペニスは、先ほどからすっかり勃起してしまっている。
それは幼いながらもズボンの中で目一杯膨らみ、窮屈になり痛みを感じるほどだ…普通ならば。
けれどこの時のわたるは、それすら感じていなかった。
自分の股間の痛みすら気づかない。それほどわたるは、自転車の女性のパンチラにすっかり悩殺されてしまっていたのだ。

「…ク?…ボク?…ねぇ、ボクッたら!」
「…ん?…え?…あ、は、はいっ!」
わたるは再び女性の声によって現実に引き戻された。
一体、自分はどれくらい女性のパンティに見惚れていたのだろうか?随分長い間、女性の白いパンティを見つめていたような気がする。
わたるは焦った。こんなことが目の前の女性にばれてしまったら…わたるは恐る恐る視線を上げ、女性の顔をうかがった。
「ね?どうしたのボク?やっぱり、どこか痛い?立ち上がれなさそう?」
自転車の女性は、心配そうな面持ちでわたるに問いかけてくる。
彼女はどことなく見覚えのある可愛らしい顔立ちの女性だった。やはりわたるよりもずっと年上の大人の女性だ。
これほど自分のことを心配してくれているということは、どうやらわたるがパンティに見惚れていたことには気づいていないらしい。
わたるはホット胸をなでおろした。
「あ…だ、大丈夫…大丈夫…ちょっと、痛かっただけで…」
「本当?…なんか、とっても痛そうだけど…」
「ほ、本当だよ…だ、大丈夫だから…」
自転車の女性は真剣にわたるの身体を心配してくれているようだ。
わたるはこの女性に対し、またしても申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
何故なら…わたるの心配をしてくれるのはありがたいのだが、この女性は自分の姿勢のことは一切気にかけていなかったからだ。
自分の股間への注意を全然払っていない自転車の女性の白いパンティは、相変わらずわたるに丸見えとなったままなのだ。
女性の顔を見て話をするつもりが、油断をするとわたるの視線はついつい女性の下半身に引き寄せられてしまう。
自分を心配してくれている女性に対し、これはあまりにも失礼な態度ではないか、そうわたるは思ったのだ。
とはいえ、結局わたるの目は女性のパンティに吸い寄せられたままであり、幼いペニスはずっと硬くなったままだったのだが…
「あれ?もしかしてボク…」
その時、急に女性の声のトーンが変わった。思わず女性の顔を見上げるわたる。
すると女性は、なにやら首をかしげながらわたるの顔を覗き込んでいる。
「あのさぁ…ボク、もしかして…」
「え?…な、なに?…」
「間違ってたらごめんね…もしかして、ボク、わたる君じゃない?」
「え?…あ、う、うん…そうだけど…」
「キャー、やっぱり!やっぱり、わたる君…わた君だったんだ!」
「え?…わた君?…あ!…も、もしかして…」
「そうよ!思い出した?…私、ようこだよ。ようこ先生」
『わた君』と呼ばれて、わたるははっとした。わたるはかつてこのように呼ばれていることがあったのだ。
白いパンティの自転車の女性。見覚えがあるはずだ。彼女は、幼稚園時代のわたるのクラスの担任、ようこ先生だったのだ。

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